きのう開かれた日ロ首脳会談は、プーチン大統領が2時間40分も遅れて到着するという波乱の幕開けとなりました。
安倍総理の地元・山口県長門市の老舗温泉旅館を会場に開かれた会談で焦点となっていたのは、5月に日本側が提案した、北方四島への日本企業進出を含む「共同経済活動」や、元島民らが自由に訪問できる「自由往来」の実現を合意できるか、といった事項。
さらに、その合意が領土問題の解決と平和条約の締結につながるものだと確認できるかにも注目が集まっていました。
安倍総理が海外の要人を地元に招いて会談を行うのは今回が初めて。
現地で取材に当っていたテレビ朝日政治部総理官邸担当の吉野真太郎記者は「少人数の場で勝負をかけるというのが、安倍総理の得意技。その効果を最大限に発揮するため、地元山口県に招いたのだろう。その中で領土問題をなんとか解決に導こうという狙い」と話します。
会談終了後、総理は記者団への説明で「特別な制度のもとでの共同経済活動などについて、率直かつ突っ込んだ議論を行うことができた」と述べ、プーチン大統領と2人だけで行った会談では、元島民から預った手紙を渡したことを明かし「ロシア語で書かれていた手紙については、プーチン大統領はその場で読んでおられた。平均年齢も81歳になり、時間がないという島民の皆様のお気持ちをしっかりと胸に刻んで会談を行いました」と振り返ったそうです。
プーチン大統領への取材経験があるジャーナリストの小林和男氏は、この手紙について「プーチン大統領には通用しない」と断言。
「プーチン大統領はものすごく冷徹な男で、国のために何ができるか、国の安全保障のために何をしなければならないのか、ということが彼の一番の関心事」で、情に訴えて何か変わるということのない人物だと指摘したそうです。
また、国境問題の第一人者で北方領土を6度訪問した経験のある東海大学の山田吉彦教授は「安倍総理は非常に慎重に話しているなという印象。憶測を膨らませないよう、慎重に発言していたのだろう。今日の段階では出せることは限られているのだろう」と分析。
また、「95分の会談では、具体的な話をしたのではないか。”平和条約に関連”と言っている以上、シリアやウクライナの問題も含めて、さらに複雑な議題が出たのではないか」と推測したということです。
北方領土、拉致被害者、竹島・・・日本に還ってくる日は訪れるのでしょうか