作家の三島由紀夫が16歳の時に書いたデビュー作「花ざかりの森」など初期4作品の直筆原稿が熊本市で見つかったそうです。
三島の才能を見いだした同市の国文学者、蓮田善明の遺族が9月、同市のくまもと文学・歴史館に寄贈した関係資料に含まれていたそうです。
研究者は「三島文学を研究する上で貴重な資料。ともに国を憂えて自決した2人の精神的なつながりの深さも裏付ける」と指摘しています。
4編の原稿は400字詰めで、紐でとじてあったそうです。
同館は、完全に解読できる保存状態であり、蓮田家が約70年間大切に保存していたことなどから、直筆に間違いないとみています。
4編は、蓮田が発行兼編集人を務めていた同人誌「文藝文化」の41年9月号から43年9月号にかけて初掲載。
後に単行本や全集にまとめられましたが、直筆原稿はいずれも長く所在が分かっていなかったそうです。
花ざかりの森は、三島が学習院中等科在学中に執筆した短編小説。
原稿は56枚。恩師の清水文雄が広島高等師範学校の同窓生だった蓮田と文芸仲間だった縁で、文藝文化に掲載してもらったとみられています。
このほか、随筆の「壽」(11枚)▽短編小説の「みのもの月」(43枚)▽短編小説の「世々に殘さん」(105枚)もあったそうです。
三島由紀夫文学館(山梨県山中湖村)の松本徹館長は、「『花ざかりの森』の原稿は最終稿に近いものと思われ、作家・三島由紀夫誕生の経緯を物語る第一級の資料だ。これまで三島研究者の間でもあまり探求されていなかった蓮田との深いつながりを証明する価値もある」とみています。
三島は70年11月、陸上自衛隊市ケ谷駐屯地で自決。
松本館長は「蓮田はマレー半島で終戦を迎え自決したが、三島の自決にも何らかの影響を与えたと推察される」と指摘したということです。
16歳の時に書いたデビュー作、、、素晴らしいですね!