2016年11月22日5時59分頃、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震があり、最大震度5弱を観測しました。
直後に津波警報も発せられ、東日本大震災の記憶がよみがえりますが、随所で当時の経験が活かされています。
そのうちのひとつが「やさしい日本語」です。
平易な表現や文構造、振り仮名などを用いて子どもや外国人にもわかりやすくした日本語のことで、災害時に大きな役割を果たします。
今回の津波警報で、NHKはやさしい日本語に対応したテロップを流し続けました。
NHKは普段から「NHK NEWS WEB EASY」で小学生・中学生や日本に住んでいる外国人に向けてわかりやすい言葉でニュースを伝える取り組みをしているそうです。
6時の「NHKニュース おはよう日本」が始まった途端、緊急地震速報が流れました。
その2分後に津波警報が鳴ると、
「津波警報が出ました。今すぐ逃げてください。皆さん、東日本大震災を思い出してください。命を守るため今すぐ逃げてください」
と、アナウンサーが切迫した声で訴え、テロップは赤地に白い文字で
「すぐ にげて!」と注意を喚起しました。
その後も、
「すぐ避難を!」「にげて!」「つなみ! にげて!」「津波! 避難!」「津波(つなみ)! 避難(ひなん)!」「にげて! このあとも津波情報」
画面表示に合わせて言葉を変えたり、より適切な表現を求め改良を加えたりしたそうです。
6時から10時までの間に7種類もの言い換えで、津波から逃げるよう必死に促しました。
さらに画面端では「TSUNAMI Subchannel or Radio2」と表示し、サブチャンネル(マルチ編成番組)とラジオ第2で英語の放送があることを呼びかけたそうです。
7時過ぎからは、画面端の「福島など津波観測 M7.3 震度5弱」といったテロップにもルビを振るほどの徹底ぶりだったそうです。
このNHKの緊迫した報道を受け、その痛烈なメッセージに「ただ事じゃない」と感じた人も多いようです。
幸いにも津波による大きな被害はなく、気象庁は岩手県から茨城県の沿岸に出していた津波注意報を12時50分にすべて解除しました。
NHKのやさしい日本語の取り組みに対し、ツイッターでは感嘆の声が上がっているそうです。
1995年1月に発生した阪神・淡路大震災では、多くの外国人も被害を受けました。
なかには日本語も英語もままならぬ人もおり、災害や避難情報を伝えるために生まれたのが「やさしい日本語」なのだということです。
武田アナウンサーなど、汗だくになりながら必死に、アナウンスの練習をしている様子が以前TVで放送されてましたよね