鳩山由紀夫元首相は22日、弟の鳩山邦夫元総務相の死去を受け、コメントを発表しました。
由紀夫氏は、邦夫氏との最後の会話が東京都知事選(7月14日告示-31日投開票)への出馬打診だったことなどを明かし、「何事も兄を追い越していた弟でしたが、人生まで追い越すとは兄として寂しい限り」と胸中をつづったそうです。
<コメントの全文は以下の通り>
弟邦夫の突然の訃報を聞いて、大変に驚いております。3年前に母が亡くなりましたが、まさかこんなに早く邦夫まで逝ってしまうとは信じられません。
2週間ほど前に、都知事選に弟の出馬を期待している方がおられたので打診をしたのですが、「今はその気はないよ」との返事でした。それが弟との最後の会話になってしまいました。何事も兄を追い越していた弟でしたが、人生まで追い越すとは兄として寂しい限りです。
私たち兄弟は小中学の頃は小児ぜんそく持ちで、当時は運動が嫌いで、母が心配して家庭教師を私たちにつけてくれたのですが、その先生が勉強よりも野球や昆虫採集を教えてくれました。邦夫が蝶の権威になったのはそれがきっかけでした。料理もプロ並みでしたが、大学生の頃、勉強が終わると台所で餃子を皮から作って食べさせてもらったり、屋台のラーメン屋に家を2人でこっそり抜け出して食べに行ったり、本当に仲の良い兄弟でしたが、常に弟のほうが積極的でした。
また、弟は幼稚園の頃からオーパパ(一郎)の跡を継ぐのは自分だと言って、その通り、田中角栄先生の門下生となり、政治家になりました。政治嫌いの私が政治の世界に入るとき、派閥の違う私を角栄先生の下に連れて行ってくれました。
言うまでもなく、弟は私にとって政治家の先輩であり、運命のいたずらで時には意見を異にすることがありましたが、内向的で自己表現がうまくない私にとっては、常に目標であり自慢の存在でした。主要閣僚を歴任し、また蝶を愛し自然を愛する弟が、より高い立場から日本の将来や環境問題などに真剣に取り組んでくれることを期待していただけに、残念でなりません。
今は政治一筋に生きてきた弟が、政治という責任から身も心も解放され、安らかに永眠することを祈っています。
哀悼の意を表し、お悔やみ申し上げます。