新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、最前線で奮闘する医療従事者らに感謝の意を示す動きが広がっているそうです。敬意を込めて決まった時間に拍手をしたり建物をライトアップしたりする取り組みは海外で始まり、日本でも広がっています。専門家は「医療崩壊を防ぐため一人ひとりができることを考えるきっかけになってほしい」と話しているそうです。
「クラップ・フォー・ケアラーズ(医療従事者らへの拍手を)」と名付けられた呼びかけは英国の市民らが発案したとされています。感染防止のための外出規制が敷かれているため、市民らは決まった時間に自宅の玄関先やバルコニーから一斉に拍手を送るそうです。
その様子がSNS(交流サイト)を通じて各国に伝わり、米ニューヨーク中心部では医療従事者らが勤務を交代する午後7時などに合わせて市民らの拍手や口笛が街中に鳴り響くといいます。
国内でも医療従事者らに感謝の意を伝える動きが広がり始めているそうです。
「感謝の拍手を」。福岡市役所の外壁に10日正午、医療や介護に携わる関係者に向けた応援幕が掲げられ、ベランダに出た職員らが一斉に拍手をしました。
SNSなどを通した市の呼びかけに九州電力などの地元企業やプロ野球福岡ソフトバンクホークスも呼応して同時刻に参加。市は欧米でも行われている「フライデー・オベーション(金曜日に拍手を)」として毎週金曜日の正午に拍手するキャンペーンを続けるそうです。
東京都では医療従事者らへの感謝や支援の意を示すため、東京スカイツリーや都庁舎などを夜間に青くライトアップ。神戸市でも神戸港のメリケンパークにある「BE KOBE」のモニュメントなど毎週木曜日にライトアップするそうです。
感染者が急増するなか医療従事者らを取り巻く状況は厳しさを増しています。
世界保健機関(WHO)も、感染防護のためのゴーグルをつけたあとが顔に痛々しく残る医療関係者の画像や、帰宅時に駆け寄る息子を抱きしめられずに泣き崩れる看護師の動画をSNSで紹介し、医療従事者の窮状を訴えているそうです。
新型コロナの専門外来がある関東の総合病院では3月、医師や看護師らをストレスチェックした結果、1割以上がうつ病などの恐れがあると指摘されたといいます。4月に入り、離職者が相次ぐ病院が出始め、感染者を受け入れた病院の医師や看護師、その家族らが差別的な扱いを受けるケースも報告されているそうです。
新型コロナの治療に当たる看護師は「同僚にも『汚い』などと陰口を言われるのがつらい」と明かします。日本医師会などは「心ない風評被害が起きている」として不当な扱いをしないよう求めるメッセージ動画を公開しているそうです。
一方、医療従事者らを支援するため、政府の専門家会議のメンバーらでつくる「新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会」は、感染が起きやすい3密(密閉・密集・密接)の場面の回避、多数が集まるイベントや会食をしないなどの行動を求める声明を署名サイトに掲示しています。
有志の会に参加する田中幹人・早稲田大准教授(科学技術社会論)は「医療従事者を応援するのはもちろん、感染症を巡る偏見や差別に対し、一人ひとりが何をできるかを考えるきっかけにして」と指摘。「それぞれができることを少しずつ実践しあうことで、医療だけでなく、保健所や物流、スーパーなど、仕事を休めない人たちの負担を軽くし生活基盤の維持につなげられる」と話しているということです。
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ブラジル・リオデジャネイロの街を見下ろす「コルコバードのキリスト像」が4月12日夜、ライトアップで白衣姿になりました。キリスト教の復活祭に合わせ、新型コロナウイルス感染拡大と闘う医療従事者に感謝の意を示すためだそうです。
像には感染拡大が続く国の国旗や、さまざまな言語で書いた「ありがとう」の文字、手術着とマスクを着けた医療従事者らの姿も投影されました。腕の部分にはポルトガル語で「家にいて」を意味するスローガンが浮かび上がったそうです。
これに合わせてカトリック教会のオラニ・テンペスタ大司教が像の台座前でミサを執り行い、医療従事者に敬意を表しました。
像には先月も、感染が報告されている国の旗が映し出されたそうです。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、ブラジルでこれまでに報告された新型コロナウイルスの感染者は2万2000人余り、死者は1230人。しかしボルソナーロ大統領は依然、新型ウイルスを「ちょっとしたインフルエンザ」ととらえて「社会的距離」を保つ政策を否定し、経済優先の立場を貫いているということです。
新型コロナウイルスの世界的な流行の終息を願い、ブラジル・リオデジャネイロの「コルコバードの丘」に立つキリスト像(高さ約38メートル)が3月18日夜、感染者が確認されるなどした各国・地域の旗でライトアップされたそうです。
フォーリャ・デ・サンパウロ紙によると、式典で祈りをささげたカトリックのリオデジャネイロ司教は、「この困難に打ち勝ち、またハグであいさつができますように」と語りました。
丘はリオを代表する観光名所ですが、17日に地元州知事が非常事態を宣言し、立ち入りが禁止されているということです。