安倍晋三首相は29日夕、首相官邸で記者会見し、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた政府の取り組みなどを述べたそうです。記者会見の全文は次の通り。
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「新型コロナウイルスが世界全体に広がりつつあります。中国での感染の広がりに続き、韓国やイタリアなどでも感染者が急増しています。わが国ではそこまでの拡大傾向にはないもの、連日、感染者が確認される状況です」
「そして、現状においては感染の拡大のスピードを抑制することは可能である。これが今週発表された。専門家の皆さんの見解であります。そのためには、これから1、2週間が、急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際となる。こうした専門家の皆さんの意見を踏まえれば、今からの2週間程度、国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手を尽くすべきである。そのように判断いたしました」
「集団による感染をいかに防ぐかが、極めて重要です。大規模感染のリスクを回避するため、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントについては中止、延期、または規模縮小などの対応を要請いたします。スポーツジムやビュッフェスタイルの会食で感染の拡大が見られる事例がありました。換気が悪く、密集した場所や不特定多数の人が接触する恐れが高い場所などでの活動も、当面控えていただくとともに、事業者の方々には、感染防止のための十分な措置を求めたいと思います」
「そして、全国すべての小学校、中学校、高校、特別支援学校について来週月曜日から春休みに入るまで臨時休業を行うよう要請いたしました。子供たちにとって3月は学年の最後。卒業前、進学前の大切な時期です。学年をともに過ごした友達との思い出を作るこの時期に、学校休みとする措置を講じるのは断腸の思いです」
「卒業式については、感染防止のための措置を講じ、必要最小限の人数に限って開催するなど、万全の対応のもと、実施していただきたいと考えています。学校が休みとなることで、親御さんにはご負担をおかけいたします。とりわけ小さなお子さんをお持ちのご家庭の皆さんには、本当に大変なご負担をおかけすることになります」
「それでもなお、何よりも子供たちの健康、安全を第一に、多くの子どもたちや教職員が日常的に長時間集まる。そして、同じ空間をともにすることによる感染リスクに備えなければならない。どうかご理解をいただきますようにお願いいたします。万が一にも学校において、子供たちへの集団感染のような事態を起こしてはならない。そうした思いのもとに今回の急な対応に全力を尽くしてくださっている自治体や教育現場の皆さんにも、感謝申し上げます」
なぜ日本は、いまだに中国からの全面的な入国禁止措置をとっていないのでしょうか
日本各地で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、全国で最も多くの感染者を出している北海道の鈴木直道知事が中国で注目を集めているそうです。
鈴木知事は26日、国に先駆けて北海道内の小中学校の2月27日から3月4日までの休校を市町村に要請しました。知事は会見で「前例のないことなのでやりすぎではないかというご批判もあるかもしれませんが、政治判断は結果が全てなので、結果責任は知事が負います」と述べたそうです。北海道に続き、一部の自治体や私立の学校などが休校措置を取ることを決め、政府は27日夕方に3月2日から全国の小中高校を休校とする要請を出しました。
新浪新聞の中国版ツイッター・微博(ウェイボー)アカウント・頭条新聞が「知事:全ての結果は私が負う」と題して北海道の措置を伝えると、中国のネットユーザーからは「素晴らしい対応だと思う」「イケメンな上にやり手」「顔面偏差値が高く、度胸もある」などと高く評価する声が寄せられたそうです。
また、中国メディア・北京日報が運営するアカウント・長安街知事は鈴木知事について「1981年生まれ。30歳で北海道夕張市の市長を務め、日本最年少の男性市長になった。19年4月に北海道知事に当選した」などと紹介。全道への休校要請について、「この日本最年少知事が示した度胸が、彼を日本国内外で有名にした」と評しました。
このほか、鈴木知事が会見で休校中の子どもの居場所について、労働者が休みやすい環境づくりへの配慮を企業などに要請した中で、道としても対策を行っていることを「隗より始めよ」という言葉で表現したことにも着目。記事は「『隗より始めよ』は史記・燕召公世家が出典。『隗』は戦国時代の郭隗の自称で、元は自分が手本となることを指し、後に自らが先んじて物事を行うことの例えになった」と伝えたそうです。
中国のSNSウェイボーでは、知事を題材にドラマを作る妄想まで始める強者もいて、「主演はマスクをした妻夫木でフジテレビの月9、スポンサーはトヨタとP&Gだ」などと必要以上に具体的な設定を作り込んでいます。
また、政治手腕を評価する声も多く「彼を抜擢してはならない。日本政府の能力が上がってしまう。恐ろしい」と警戒するユーザーもいれば「(環境相の)小泉進次郎氏より首相に向いている」とするコメントもあったそうです。
なお、中国の大手ポータルサイト・新浪の国際ニュースのアクセスランキングでは28日午前現在、上記の記事が1位になっているということです。