3月28日付のマリナーズの地元紙Seattle Timesの全面広告に、「THANK YOU, ICHIRO」と見出しを付けたオープンレターが掲載されたそうです。
送り主はイチローをヒーローとして慕う、元チームメイトのディー・ゴードンです。
2人は2015年、マイアミのマーリンズでチームメイトとなり、2018年にマリナーズで再び共にプレーしていました。
eattle Timesによると、ゴードンはこの大胆なオープンレターを、超プライベート主義で知られるイチローが嫌がるかもしれない、と不安に思っていたそうです。
「僕もこれはやりすぎかな、と思ったんだけど。...だから事前に彼に携帯メールを送ったんだ。『”あること”をした。気に入らなかったらゴメン。でももうやっちゃったから』って。でも驚くことに、イチローは気に入ってくれたんだ」
イチローの引退試合で涙を見せていたゴードン。
このメッセージを見ると、2人は特別な絆で結ばれていたのが分かります。
<以下はメッセージ全文>
THANK YOU, ICHIRO.
Dear イチロー
まず初めに、僕の素晴らしい友人でいてくれて、そして今までで1番好きな野球選手でいてくれてありがとう。
僕が野球を始める前、あなたを見て「ワオ、彼は僕みたいに細いのに...彼ができるなら僕にだってできるだろう!」と思ったのを覚えています。あなたの姿が、僕に野球をやりたいって思わせてくれたんだ。
エイボン・パーク(Avon Park:フロリダ州にあるゴードン選手の出身地)に住んでいた少年時代から、あなたは僕のヒーローだった。好きすぎて、僕が生まれる前に発売された古い野球のビデオゲームの選手を「イチロー」と名付けたりもしたんだ。
僕があなたに初めて出会ったのは、2004年のオールスターゲーム。午後3時ごろに父と球場に行くと、あなたはすでにストレッチして試合の準備をしていた。オールスターゲームでそんなことするのはあなただけだよ!
あなた以外はみんな、ホームランを打つようなスラッガーだった。でもあなたは自分に、あなたの仕事に、プロセスに、そして1番大事な...あなたの文化に忠実だった。周りの選手は僕らの倍くらい大きいけれど、不可能はない。このスポーツで、僕がやりたいこと何でも、すべてが可能だと、あなたは見せてくれたんだ。
そして2012年、ドジャース(ゴードン選手が当時所属していた)がシアトルで試合をした時のこと。僕ばショートで、あなたの一挙一動を見てた。その結果、あなたのヒットに貢献してしまったんだ!あなたに夢中になりすぎて守るのを忘れちゃったんだ!(ドジャースごめんよ。でもイチローだよ?!)
翌日、あなたはヤンキースに移籍。僕は打撃の話もできなかった。すごくショックだった。
でも2015年、僕はマイアミに移籍すると、数日後、なんとあなたもやってきたんだ!
僕は嬉しすぎて飛び上がり、親友に叫んだんだ。「聞いてよ!イチローとプレーできるんだ!まじかよ!この僕が?嘘だろ!?」ってね。それで、フロリダに早く行ったのを覚えてる。もしかしたらあなたがいるんじゃないか、そしたらあなたが打って走るのを見れるんじゃないかってね。あなたがやっと到着して、僕があなたに挨拶にいったら...もう、あなたはめちゃくちゃ優しかったよね。あなたは、僕を可能な限り支援してくれる、と言った。誓うよ、あれは嬉しかった。今でも僕は「僕はイチとプレーしてるんだぜ!小さいエイボン・パーク出身の僕がだよ?」って信じられないくらいです。
イチ、この5年間、あなたが僕にとってどれだけの存在だったか、みんなはわからないでしょう。僕の良い時も悪い時も、上がったり下がったりした時も、あなたの友情は揺らいだことは一度もありませんでした。どんな時でもそばにいて、僕を支えてくれた。もし僕が不当な扱いを受けた時は、いつも支持してくれた。もしそれがあなたの立場を悪くしたとしても。
TwitterやInstagramでの投稿は、これには相応しくないと思ったんだ。だから、正しい方法で、そしてできるだけ大声で、どれだけあなたに感謝しているかを伝えたかったんだ。あなたの友情と導きがなければ...そしてあなたの「秘密」を教えてくれていなければ(大丈夫、絶対言わないから!)、今の「打撃王・ディー・ゴードン」は誕生していなかったよ。
愛してるぜ、親友!あなたはずっと、僕の人生の一部です。引退を楽しんで。オフの日には一緒にバッティングしに来てください。だって、あなたなしでは寂しいから。あと、頼る相手がいなくなることもね。
Your brother, (あなたの親友)
ディバリス
*ディバリスはディー・ゴードン選手の本当の名前。ディーは愛称
感動的ですね!
球団関係者は「引退した選手が地元ファンに感謝するためや、球団が引退した選手に感謝を伝えるために全面広告を掲載することはあるが、今回のように一選手が個人的に感謝するというのはこれまで見たことがない。非常に珍しい」と驚いていたそうです。
使用された2枚の写真は、イチロー氏がマーリンズ時代の16年8月7日のロッキーズ戦でメジャー通算3000安打を達成した直後と、現役最後となった21日のアスレチックス戦で交代後に2人が強く抱き合ったもの。
イチローの引退試合で涙を見せていたゴードン。
イチロー&ゴードン。