江戸幕府の礎を築いた3代将軍、徳川家光が描いた動物画の実物が来年3月、東京都府中市の府中市美術館で開かれる展覧会で初めて公開されるそうです。名将のイメージとは正反対の脱力感のある絵で、ほかにも伊藤若冲や長沢芦雪など奇想の画家が技巧に固執せず描いた水墨画などが並ぶびます。展覧会のタイトルは「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」。
19日、概要が東京都内で発表されました。約140点が展示されますが、そのうち44点は初公開だそうです。家光の「木兎(みみずく)図」と「兎(うさぎ)図」は、何とも可愛らしい存在感で目を引きます。
「木兎図」は東京都文京区の養源寺に保管されていたそうです。丸い形をした両耳やとぼけた表情を向けますが、目は墨で何重にも重ね、羽も細やかに描かれています。「兎図」は、数年前に京都で見つかり、大きな黒目のウサギが切り株の上にちょこんとたたずむ姿は味わい深いもの。
府中市美術館によると、家光は政務の傍ら絵をたしなみ、家臣に作品を与えることもあったそうです。作品はこれまで10点弱しか見つかっていませんが、いずれもこうした素朴な画風が特徴的だといいます。
ほかにも、伊藤若冲の「福禄寿図」は福禄寿の頭部が餅のように長く伸び、仙厓義梵の「十六羅漢図」は羅漢の目からビームのようなものが出ており、笑いを誘います。
府中市美術館の金子信久学芸員は「誰もが、完璧ではない不格好で不完全なものに心ひかれることがある。それを意図的に作り出す、感性や創作性がある」と話したそうです。
また、江戸時代の画家長沢芦雪が描いた珍しい初公開作品も見どころの一つ。子孫繁栄の理想像として描かる「郭子儀図」は、緻密で入念に彩色されており、大胆で自由な画風を好んで「奇想の画家」とされる芦雪の意外な一面が垣間見られます。
会期は3月16日から5月12日まで。詳細は特設ホームページ(http://fam-exhibition.com/hesoten/)で確認できるということです。
所謂「ヘタウマ」?