スウェーデンのカロリンスカ研究所は1日、2018年のノーベル医学生理学賞を京都大高等研究院の本庶佑特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授の2氏に授与すると発表したそうです。本庶氏は免疫の働きにブレーキをかけるたんぱく質「PD-1」を発見し、このブレーキを取り除くことでがん細胞を攻撃する新しいタイプの「がん免疫療法」の開発に結びつけた功績が評価されました。
日本からの受賞は2年ぶり26人目。授賞式は12月10日にストックホルムであり、賞金900万スウェーデン・クローナ(約1億1500万円)が2氏に贈られます。
本庶氏らの研究グループは1992年、免疫の司令塔を担うリンパ球「T細胞」で働く「PD-1」遺伝子を発見。PD-1が免疫反応のブレーキ役に相当することが分かり、ブレーキを外せば免疫力が高まってがん治療に応用できるのではないかと考えました。
その後、がん治療薬の開発が進み、小野薬品工業(大阪市)が14年9月、PD-1の抗体医薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)を発売。世界各地の製薬会社がよく似たメカニズムのがん治療薬の開発に乗り出しており、新たな治療法としての普及が期待されるということです。
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本庶佑(ほんじょ・たすく) 1942年、京都市生まれ。60年に京都大医学部に入学後、学部在学中から、日本の生化学のパイオニア的存在だった早石修教授(故人)の研究室に出入りし、門下生となる。71年に同大大学院を修了。
米国留学などを経て79年、37歳で大阪大教授に就任。84年に京大に移り、クラススイッチやPD-1などの免疫分野の研究で大きな成果を上げる。2005年に同大名誉教授、特任教授。17年5月から現職。神戸市の神戸医療産業都市推進機構理事長も務める。
朝日賞(82年)、ベルツ賞(85年)、ベーリング・北里賞(92年)、ロベルト・コッホ賞(12年)、京都賞(16年)など受賞多数。14年には、東洋のノーベル賞と呼ばれる台湾の「唐奨」を受賞した。00年に文化功労者に選ばれ、13年に文化勲章を受章した。
「がん免疫療法」の発展に貢献し、今年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった本庶佑・京都大特別教授(76)らの業績に対し、米国のメディアからも称賛の声が上がったそうです。
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)などは1日、2002年にノーベル平和賞を受賞したジミー・カーター元大統領(94)が15年、本庶氏の研究を基に開発された薬によるがん治療を受けていたことを紹介。カーター氏は皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」を患い、脳や肝臓への転移もありましたが、最近の検査ではがんが見つからないほどに回復しているそうです。
AP通信は、本庶氏と米国人共同受賞者の業績を、「がん治療に革命をもたらした」とたたえ、「彼らが切り開いた科学が、数え切れない患者を救った」と評価する専門家の声を伝えたということです。
本当に誇らしいですね!