国連総会(193カ国)は21日、緊急特別総会を開き、エルサレムをイスラエルの首都と認めた米国の判断について、撤回を求める決議案を賛成128、反対9、棄権35で採択した。
トランプ米大統領が賛成国への援助停止を警告したものの、反対は少数にとどまった。逆に「加盟国の投票や尊厳を売買できると考えるのは非道徳的」(トルコのチャブシオール外相)と米国の露骨な脅しへの反発も強まった。
米国から年間約13億ドル(約1470億円)の支援を受けるエジプトや、ヨルダン、サウジアラビアなどアラブの親米諸国は、パレスチナを支援する従来の立場を維持し賛成に回った。日本や西欧の同盟国も決議を支持した。
トランプ政権が賛成国に対し、具体的な措置を講じるかは不透明だ。国務省のナウアート報道官は21日、「国連の投票だけが、外国との関係を扱う際に検討する唯一の要素ではない」と指摘。「大統領の外交チームはさまざまな選択肢を検討する権限がある」と述べるにとどめた。
一方、ヘイリー米国連大使は、決議に賛成しなかった国のリストをツイッターに投稿し、「国連の無責任なやり方に屈しなかった国々に感謝する」と表明した。ロイター通信によると、ヘイリー氏はこれらの国々に「米国への友情に感謝する」と記したレセプションへの招待状を送り、賛成国をけん制した。
ヘイリー氏は総会での演説で、米国が最大の国連分担金負担国だと繰り返し、「国連に対する米国の見る目は変わる」と強調。国連への拠出金削減を改めて警告した。「米国第一」を掲げ、国連にかねて懐疑的なトランプ政権が今後、国連機関からの脱退や拠出金削減の検討を加速させる可能性もある