ドイツの週刊誌シュピーゲルの表紙に、米国のトランプ大統領が自由の女神の首を切断する風刺画が掲載され、世界中で物議をかもしているそうです。
問題の風刺画はキューバから米国へ1980年に政治亡命したエデル・ロドリゲス氏の作品。
トランプ大統領が左手に血まみれの包丁を、右手には首から血を流す自由の女神の頭部を掲げて立つ姿を描き、「アメリカ・ファースト(米国第一)」の文字をあしらっています。
この言葉はトランプ氏が選挙運動中に使っていたキャッチフレーズで、大統領就任演説でも「この瞬間からアメリカ・ファーストになる」と宣言していたそうです。
トランプ大統領が出したイスラム教国7カ国から米国への入国禁止や難民の受け入れ停止に対しては、世界各国で抗議運動が巻き起こっています。
これについて風刺画作者のロドリゲス氏は米紙ワシントンポストの取材に答え、「民主主義の斬首であり、神聖なシンボルの斬首だ」と主張。
過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」とトランプ大統領には共通点があると述べ、「両方とも過激派だ。だから互いをなぞらえた」と話しているそうです。
シュピーゲルの英語サイトに掲載された論説の中で同誌編集長はトランプ大統領について、「同氏は大統領令や任命および解任の統治スタイルで、ワシントンと同国を分断させている」と論じ、「(トランプ大統領は)自由のない民主主義を確立したいと思い、さらに悪いことに力の均衡を崩したいと思っている」と分析しました。
CNNは風刺画についてホワイトハウスにコメントを求めたが、現時点で返答はないそうです。
風刺画に対する意見は分かれています。
シュピーゲル誌の姿勢を評価する声がある一方で、ドイツ自由民主党議員で欧州議会副議長のラムスドルフ氏は「悪趣味」と不快感を示したそうです。
自由の女神を破壊するトランプ大統領の風刺画が新聞や雑誌に掲載されたのは今回が初めてではありません。
米紙ニューヨーク・デイリーニュースは2015年、やはり自由の女神を斬首するトランプ氏の風刺画を一面に掲載していました。
シュピーゲル誌は2016年11月にも、地球に接近してくる巨大隕石になぞらえたトランプ氏の風刺画を掲載したそうです。
ロドリゲス氏は2016年、米誌タイムの表紙にも、口があるだけでほかの表情がないトランプ氏の風刺画を執筆しています。
また、英誌エコノミストもトランプ大統領が火炎瓶を投げる風刺画に「ホワイトハウスの暴徒」というキャプションを添えて物議をかもしたそうです。
米誌ニューヨーカーの今週号は、自由の女神のトーチの火が消えかかっているジョン・W・トーマック氏の風刺画「自由の燃え尽き」を表紙に掲載。
トーマック氏は、「かつて自由の女神とその輝くトーチは新しい移民歓迎の象徴だった」「同時にアメリカの価値観の象徴でもあったが、今、我々はその明かりを消しつつあるようだ」とコメントしています。
ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌の表紙には、トランプ大統領令の風刺写真が掲載された。一見、大統領令に見える書面には、(急いで起草した、法的に疑わしく経済の安定を損なう大統領令をここに挿入)の文字が書かれているということです。
しばらくはトランプネタは尽きない感じですね!