世界に1頭しかいないとされる茶色と白のパンダが、中国陝西省仏坪県「秦嶺パンダ野生化訓練仏坪基地」で飼育されているそうです。
七仔(チーザイ)と名付けられたオスのパンダは、その変わった外見ゆえ母親に見捨てられ、幼少期は他の仲間からのいじめも経験したそうですが、現在7歳となり来年には繁殖が可能な年齢にまで成長したそうです。
チーザイという名前は“七番目の息子”という意味を持ちます。
茶色と白のジャイアントパンダを飼育するスタッフは、チーザイを「とても優しくて愛嬌があり、みんなから愛されるキャラクター」と分析しているそうです。
チーザイを世話するようになって2年になるHe Xinさんは「マイペースで他のパンダよりも動きが遅いんです。だからでしょうか、余計に可愛い」と述べ、『dailymail.co.uk』に次のように語ったそうです。
「センターのパンダには1頭ずつ名前が付いています。名前を呼ぶとチーザイ以外のパンダはすばやく反応して私のところにやってきますが、チーザイは名前を呼ばれても反応が鈍いのです。そのうえ食べるのもゆっくりで、小さかった頃は他のパンダに自分の食事を横取りされたりといじめも受けていたようです。」
チーザイは生後2か月の頃に中国中部の秦嶺山脈で保護され、陝西省の「希少野生動物・救急飼育研究センター」に引き取られました。
母親に見捨てられひとりぼっちだったチーザイは、同センターで獣医による処置を受けるとミルクを与えられすくすくと成長。
その後「秦嶺パンダ野生化訓練仏坪基地」に移ったが、立派な体格のオスであるチーザイは他のパンダとは隔離された囲いの中で一日を過ごします。
7歳になったチーザイの食欲は旺盛です。
一日の食事は4回から5回、20キロもの竹を食べるそうです。
ミルクやパンなども与えられ、体重は100キロ弱にもなるということ。
アメリカの獣医キャサリーン・フォンさんによると、1985年以来、茶色と白のパンダは秦嶺山脈でのみ5頭発見されており、他の山で生息するパンダとは微妙に異なる特徴を持つ亜種と考えられているという。
また秦嶺山脈が位置する陝西省に生息するパンダは身体の色が薄い傾向にあり、チーザイは劣性遺伝子をふたつ受け継いだことで誕生したのではないかとも言われているそうです。
ちなみにチーザイの母親は黒と白のパンダだったようです。
そんな希少な存在のチーザイには、来年度を目標に繁殖計画が持ち上がっているそうです。
関係者は赤ちゃんの誕生が遺伝上における解明の大きな一歩になるのではないかと期待を寄せています。
世界自然保護基金(WWF)によると、世界には1864頭のジャイアントパンダが確認されており、そのほとんどは中国西南部・四川省の山々に生息しています。
しかしチーザイのように陝西省に生息するパンダも少なくなく中国での総個体数は年々増加傾向にあるということ。
国際自然保護連合(IUCN)は今年9月、パンダは絶滅危惧IB類(絶滅の危険が極めて高い・Endangered)ではなく、絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種・Vulnerable)に属すると報告しました。
保護、繁殖、生態研究が進めば、パンダはますます身近な動物になるかもしれないということです。
世界に1頭のパンダ!
繁殖に成功すれば良いですね!