昭和を代表するアイドルだった三浦(旧姓・山口)百恵さん(60)が、今月26日に刊行した39年ぶりの新著、キルト作品集「時間(とき)の花束 Bouquet du temps(ブーケ・デュ・タン)」(オールカラー128ページ、税込み2160円)の印税を東日本大震災など国内の被災地復興のために寄付する意向を示しているそうです。本の「あとがき」で、夫で俳優の三浦友和さん(67)と相談して決めたことを明かしています。
あとがきで百恵さんは、2011年の東日本大震災の際に計画停電などの不安をキルトを縫うことで救われた経験を紹介し、「あの時ちくちくと針を運びながら『どうか少しでも早い被災地の復興を叶(かな)えてください』と祈った思いは今も変わりません」と、印税の寄付を決めた経緯を記しているそうです。また、友和さんの「還暦のいい記念になると思う」という言葉が出版を後押ししたことも書かれています。
「時間の花束」は、1980年に出版した「蒼い時」以来の新著となるそうです。当時、百恵さんは人気絶頂で「蒼い時」は300万部を超えるベストセラーとなりました。その直後、結婚をきっかけに引退。今回の本は、それから30年以上にわたって作り続けてきたキルト作品約70点の写真が中心。作品一つ一つに込めた思いを紹介する文章も多く、引退後の百恵さんがどのように暮らしてきたかが垣間見えるそうです。
キルトを始めたきっかけは88年、なかなか自由に外出できない中、友人に勧められたことでした。キルト作家の鷲沢玲子さんに師事し、さまざまな作品を制作。自宅を彩ったり、家族や親しい人にプレゼントしたりしてきたといいます。
「ぬくもり」というタイトルの色鮮やかな作品は、89年に亡くなった母・正子さんが生前に着ていた着物の生地を使った縦1メートル80センチ、横2メートル20センチほどの大作。「母の華やいだ明るい笑顔を思い出すことのできるキルトを作ることができ、とても、温かな気持ちでいっぱいです」との一文を添えています。
友和さんへ贈った半纏(はんてん)や、長男の歌手、祐太朗さんと次男の俳優、貴大さんのために作った体操着袋などもあり、「幼くてもそれぞれに個性が芽生えてくる二人の成長に、自分も育てられている時間でした」とつづっているそうです。
他にも、針などの道具をしまう箱に、「ミスタードーナツ」が約30年前にキャンペーンで配った缶を使い続けているなどのエピソードも盛り込まれています。
作品の写真が中心ですが、百恵さん自身の写真も数枚掲載されており、柔和な笑みを浮かべながら針を手にキルトを縫う近影、キルト教室の仲間と訪れたロンドンで、ビートルズのアルバムで知られる「アビイ・ロード」を笑顔で渡る写真などもあるそうです。
出版元の日本ヴォーグ社の担当者は「初版は10万部で、キルトに関する本としては異例の部数です」と話したということです。
素敵ですよね!
三浦百恵さんが母親の着物の生地を使って製作したキルト作品「ぬくもり」。縦横2メートルほどの大作です。
1980年に出版した「蒼い時」。