1500年前のミイラが“アディダスのブーツ”を履いていたことが判明の件

以前伝えられた、1700年前の古代ローマ人が履いていた靴がアディダスそっくりだったという件に続報です。どうやら場所や年代を超え、アディダス人気は健在だったようです――。

今から約1500年前のモンゴルで“アディダスブーツ”を履いた女性のミイラが発見されて話題になっているそうです。それは昨年春にモンゴルのアルタイ山脈で発見された一体の女性ミイラ。

ミイラ本体と身につけた装飾物や副葬品の保存状態が極めて良いことに専門家らは驚きを隠せませんでした。昨年の発見時にもこのニュースはちょっとした話題となりましたが、一年経ってさらに調査が進み、ミイラが頭部に致命傷となる強い打撃を受けていたことなど、さまざまなことが判明してきたのです。

女性の年齢は30～40歳の間で、最新の研究では1100年前頃に死亡したと推測されています。

そしてなんといっても目を引くのは足に履いている、アディダスのスノーボードシューズに極似している長いブーツです。

フェルトでできており甲の部分の赤黒のストライプ模様、留め金やステッチがはっきり確認できるほど手入れが行き届いていて、とても1000年以上前のものとは思えないほど。

国立民族学博物館の館長も「発見時に世間から“アディダスブーツ”とあだ名がついたくらい、確かに瓜二つなんですよ」と語っており、ブーツをはじめ他の副葬品をみてもどれもが現代風なデザインであるため、民族学において非常に興味深い発見だそうです。

ファッション専門家たちも「皆ユニークでスタイリッシュ。現代に身につけていても違和感がないくらい」、「精巧な刺繍やはっきりした赤黒の色の組み合わせ、ブーツの長さ、どれも完璧で買って履きたいわ」と現地紙にコメントするなど、各方面から注目されているようです。

ミイラ本体やブーツなどの装飾品は、埋葬された場所の高度（2803メートル）や寒い気候のおかげで良い保存状態を保てたようです。

また装飾品の全体が多種類のミネラルやハーブが含まれた、シラジットと呼ばれる天然の腐植土と植物性有機物の混合物でコーティングされていたため劣化を免れていたそうです。

ほかにもハンドバッグや4着の衣服、鏡とくし、ナイフや金属のついたなどを携えており、土器、木製のボウル、桶、鉄製ヤカン、馬の全身の亡骸、枕、羊の頭部なども墓から発見されています。

ただ副葬品は多くありますが貴族・王族階級ではないごく普通の出自だと見られているといい、裁縫道具を身につけており、衣服やバッグに細かい刺繍が施されている点から、お針子（裁縫師）であった可能性もあるそうです。埋葬場所から、紀元前6世紀頃より中央アジアからシベリア方面を支配していたテュルク系民族ではないかと考えられています。

発見時には世界中のネット上で「タイムトラベラー」と話題になった“アディダスブーツ・ミイラ”ですか、今後も違った場所でひょっこりと我々の前に姿を現してくれるかもしれないということです。