トランプ大統領は就任後初の日曜日、大統領執務室に残されたオバマ前大統領からの手紙をスタッフに見せたそうです。
ホワイトハウスの新スタッフの宣誓式でスピーチに立ったトランプ大統領は、去りゆく大統領が後任の大統領に宛てて残す慣習的な手紙を示しながら、オバマ前大統領に対して感謝の意を述べたそうです。
「大統領執務室に入ってすぐに、オバマ前大統領からのこの美しい手紙を見つけた。彼はとても素晴らしいことしてくれた。わたしたちはこれを大事にする。大切にしまっておく。メディアには中身を教えない」
この儀式的な手紙は代々短く助言を申し出るもので、通常何年も公表されないそうです。
実際、ジョージ・W・ブッシュ元大統領がオバマ前大統領に宛てた2009年の手紙を国立公文書館が開示したのは、つい先週のことだということです。
素敵な慣習ですね!
ホワイトハウスの大統領執務室。ドナルド・トランプ氏が大統領として初めて足を踏み入れるとき、そこにはバラク・オバマ前大統領からの手紙が残されています。
大統領職を去る者から就く者へ。手書きの手紙は、伝統として渡されてきました。平和な権力移譲を象徴しています。
手紙にはどんな言葉が残されてきたのでしょうか。少し時代を遡ってみましょう。1993年1月20日。ジョージ・H・W・ブッシュ氏から、ビル・クリントン氏への手紙です。
ビルへ
いまこの執務室に歩を進めるとき、私は4年前に感じたのと同じ躍動感と尊敬の気持ちを感じる。君もそうだと思う。
ここでの君の大いなる幸福を祈る。これまでの数人の大統領が述べたような孤独を、私は感じることはなかった。
困難なときもあろう。フェアだとは思えないような批判によって、困難は増すかもしれない。私は助言するのに適した人物ではないが、批判する者たちによって打ちひしがれたり、進む道を外れたりしないでほしい。
君がこの手紙を読むとき、君は私たちの大統領になるのだ。無事を祈る。家族の無事を祈る。
君の成功は我が国の成功だ。君を大いに応援している。
幸運を
ジョージより
そして、2001年1月20日。今回公表されたビル・クリントン氏から、ジョージ・W・ブッシュ氏への手紙。
ジョージへ
今日、君は最も偉大な事業に取り掛かる。アメリカ国民として最大の名誉とともに。
深淵かつ大半が前向きな変革の時代、そして、政府の役割だけではなく、国家の性質そのものをめぐる昔からの論点に新しい答えが必要されている時代。そんな時代に国を率いる特別な幸運に、君は恵まれている。私と同じように。
君が率いるのは、誇りを持ち、寛大で、親切な人々だ。今日から君は私たち皆の大統領となる。敬意を表し、成功と多幸を祈る。
君が今背負う重荷は大きいが、ときに誇張されてきた。正しいと信じることを進める純粋な喜びは、言葉では表現できない。
君と家族のために祈っている。幸運を。
心を込めて
ビル
2009年1月20日。ジョージ・W・ブッシュ氏から、バラク・オバマ氏への手紙。
バラクへ
大統領就任おめでとう。人生の素晴らしい一章がまさに始まったところだ。
君がいま感じているような責任を持つ名誉に浴するのは一握りの人間だ。高揚する瞬間や、直面するであろう課題を知る人間も一握りだ。
苦しいときもあるだろう。非難する人たちは激しく怒るだろう。君の「友人」に落胆させられることもあるだろう。だが、慰めてくれる全能の神、愛してくれる家族、応援してくれる国民が共にある。私もその一人だ。何が起ころうとも、いま君が率いることになった人々の品性や慈悲心に、鼓舞されるだろう。
神のご加護を。
心を込めて
GWより
オバマ氏はトランプ氏にどんな手紙を残したのか。今はまだ、二人しか知らない。だが、オバマ氏は最後、Twitterでこんな言葉を人々に残した。
「みなさんに仕えてきたことは、私の生涯の名誉です。みなさんによって、より良いリーダー、より良い人間になることができました」
「私は歩みを止めません。国民として、ここにいます。真実、正義、楽しいユーモア、そして愛といったみなさんの言葉に鼓舞されるでしょう」
「将来に目をむけるとき、みなさんが最も気にかけていることを反映し、第一歩を進めたいと思います。みなさんの考えをObama.orgで私とシェアしてください」
「私は今も、みなさんに信じてほしいと思っています。チェンジを起こす私の能力を、ではありません。みなさんの能力を、です。私はチェンジの価値を信じます。なぜなら、みなさんを信じているからです」